本文へ移動

現在位置 :トップページ台東区議会会議録検索トップ陳情 審査結果一覧 › 生活保護受給者採用の特定職限定での、基礎控除上限を引き上げるよう国に意見書の提出を求めることについての陳情

陳情の詳細情報表示

陳情04-11 生活保護受給者採用の特定職限定での、基礎控除上限を引き上げるよう国に意見書の提出を求めることについての陳情

受理年月日 令和4年7月19日 受理番号 陳情04-11
委員会付託日 令和4年9月12日 付託委員会 保健福祉委員会
委員会審査日 令和4年9月29日
議決年月日 令和4年10月26日 議決結果 不採択
全員賛成
陳情04-11
  生活保護受給者採用の特定職限定での、基礎控除上限を引き上げるよう国に意見書の提出を求めることについての陳情

陳情4−11(写)
   生活保護受給者採用の特定職限定での、基礎控除上限を引き上げるよう国に意見書の提出を求めることについての陳情
《陳情の主旨》
「社会に敬遠される職業」のため、生活保護者による志願を念頭に、控除上限額の3万円、ないし4万円の引き上げを求めるものです。これを国に働きかけて頂きたく思います。
《陳情の内容》
 ●「社会に敬遠される職業に対する就労の促進」
 「社会に敬遠される職業」は令和に至った日本国を今も支えています。
 例えば公共トイレの清掃員であったり、マンション等の清掃員であったりします。
 ただ、それらの職業に共通することは、キツく、汚く、重労働で、最低賃金で、パートタイムであり、それだけでは食べていけないという点にあります。
 そうした仕事の1つの例としてマンションの清掃員を挙げたいと思います。
 私の住んでいるマンションの清掃員を7年勤めた老人がいましたが、遂に70代後半に至り、体力の限界と共に、体の「痛み」も我慢の限界に達してリタイアすることになりました。
 元々、真面目な性格であったため、とうにリタイアすべき体であったところを、さらに引き摺って頑張ってしまった結果でした。
 派遣している会社側にも余裕がなく、辞めるまで交代要員を雇用することはできませんでした。
 さて、辞めたので後任を雇用するため、ハローワークを始め、方々で募集をかけるのですが、一向に応募が来ません。
 世間で清掃員の仕事が周知されていないことも一因でしょう。
 昨今の社会情勢から人件費は抑制せねばならず、管理費も抑え目になります。
 労働の厳しさもあり、人材難が続いています。
 人材を確保できても、長続きしないことが多いようです。
 こうして何人も短期間に辞めていくと、客先からの不満が増大し、最終的には管理契約の解除に至るケースもあります。
 求人面から見るとキツい、汚い、重労働、最低賃金で午前中のみのパートタイム(ゴミ出し時間の制限があるため、必須)であり、1ヶ月働いても6万円程度となれば、魅力的な仕事とは言い難いのではないでしょうか。
 こうした敬遠されがちな仕事に対して、民間ではなく、公共が斡旋の手伝いをすることを提案致します。
 ●「生活保護者に対する就労促進の一助」
 台東区が抱えている人材に、生活保護者がいます。
 色々な事情があって生活保護のお世話になっている訳ですが、彼らは基本的にハローワークで仕事を探し、社会復帰を目指しています。
 生活保護者は、自治体が抱える労働人材バンクでは「ありません」が、官側が就労政策を支援するに当たって、資金、人材共に、ある程度管理できる、公共人材である側面があります。
 生活保護者は基礎控除以上の外部収入を得た場合、生活保護費へ還元をしていただくことになります。
 これは国が取り決めをしたことですから致し方のないことですが、人によってはヤル気を削ぐものです。
 この基礎控除を、特定の仕事…つまり清掃業などの「社会的に敬遠されがちな」仕事に限定して、上限を引き上げて頂きたいのです。
 パートやアルバイトの掛け持ちはシフトが必ず入るとは限らず、生活が安定しませんが、清掃業他、「社会に敬遠される職業」を公共職として支援し、その人材は昨今、増加の一途を辿る生活保護者から志願していただくのが適所だと考えました。
 就労者に限って、基礎控除額を3万円ないし、4万円まで上限を引き上げてやれば、自主的に就労を名乗り出る者も出てくるでしょう。
 しかし、ここで危惧すべきは「不正」です。
 私は既存のシステムとして「医療券」が参考に出来ないかと考えました。
 例えば清掃業務として雇用されたとします。然る後、台東区福祉事務所から「紹介状」を発行していただきます。
 この紹介状を雇用先に提出することで、福祉事務所側が、対象企業で就労している事実認否を行います。
 確認手続きは翌月10日〆とし、この確認業務に「手数料」を『雇用企業に対して台東区役所側が支払う』ものとします。
 あまりにも高額ですと、企業側が架空雇用報告を行う不正を働きかねないため、控え目な金額にするべきですが、無償にするより確実に手続きを細かく返してくれるでしょう。
 こうして在籍通知が届く限り、控除の上限引き上げ対象として扱い、外部収入の免除を行います。
 対象企業から退職した場合、企業側は退職した旨、返信手続きをしていただき、その手数料を以て終了となります。
 当然ですが、システムを利用した生活保護者に対する信用は福祉事務所と雇用側、双方から失われるでしょう。
 システムの都合上、離職発覚まで、最大3ヶ月のブレ幅が、医療券のシステムから想定されます。
 毎月ごとに報告しないと支払いがないとしてしまうと、業務が無用に煩雑となるため、3ヶ月貯め込んで報告しても、対象が離職していない場合、3ヶ月分の手続き料金をまとめて支払うことを容認して、事務手続きの簡略化を図らない場合、現場がパンクしてしまうためです。
 就労状態に問題があった場合、福祉事務所は今後の方針について再検討する材料とし、対象者と話し合いを以て今後の生活を見直します。
 あくまでも、私の住むマンションの清掃業務を担っている企業から提示されている条件ですが、体力があり、協調性のある性格であれば能力は不問。生活保護者でも問題ない、とのことでした。
 しかし、フルタイムを働ける体力と健康体であれば、普通にフルタイムのアルバイトを探すのが当たり前というものです。
 ですから民間では、そういう人材は、ほぼ募集に集まりません。
 高齢である者、経歴に問題がある者、経済的に問題がある者、性格に難があって、どこでも問題を起こして流れて来た者など、まず採用されなかったため、渋々来る者が多いのです。
 ここに疑問を挟むようでしたら、実際にマンションの清掃業務を、現在の酷暑下、または厳冬期に体験されると良いでしょう。
 早朝に起床し、異臭にむせるゴミ捨て場で重い生ごみと格闘しつつ、時間までにゴミ出しを終えた後、全フロアの床拭きは最低限の仕事です。
 しかし、無知は罪です。体験就労をご希望でしたら、ご連絡いただければと思います。
 ◎「バラ撒きとは異なる、就労支援による区内への経済支援効果」
 先述したとおり民間では、人件費は削減される一方です。
 ですので、特定職種に対する就労支援として控除金額の上限引き上げを行っていただきたいのです。
 一時支払いを各自治体とし、四半期〆で上位自治体へ提出。台東区であれば、東京都になりますか。
 都は一時払いとして台東区へ払い出しを行い、歳出をまとめ、国へ請求を挙げるという流れで内閣広報の提出案にも記載しております。
 ◎「台東区からの実践例の提示の意義」
 公金によって「社会に敬遠される職業」に必要な人材を確保し続けることは、恒久的に継続すれば問題になるかも知れません。
 しかし、経済復興の先行きが見えない現状、加えてウクライナ戦役が明け、戦後となっても、日本国の不景気は長期的に不透明なままなことは、ほぼ確実であり、今まさに必要とされる具体策であると考えます。
 敬遠される仕事への人材志願へ公金を利用するシステムは、短期・中期的政策においては国益になると判断致します。
 そのモデルケースをどこかが始める必要があり、それは国に名指しされなければ始めないのではなく、自主的に始めて、意味あるものだと考えます。
 今後、外国人観光客の規制緩和が広がるでしょう。政府も外国人観光客を呼び込み、外貨を得たい考えですから、緩和は間違いなく進むでしょう。
 その時、台東区も日本国内経済において大きな役割を担う場所として回復するでしょうが、全国区のために動けた区なのか、保身の限りを尽くした区なのかで、政府の対応もまた変わってくるのではないでしょうか?
 座していても台東区は外国人観光客が戻ってくる自治体です。
 しかし、台東区が国際社会に発信できる区となるためには、どうあっても都や国のバックアップが必要不可欠です。
 外国人観光客という大きな波が台東区へ来る前に、台東区として全国区の益となるテストケースがあるのなら、試してみるべきだと考えます。
  令和4年7月19日
台東区議会議長
    水 島 道 徳 殿