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陳情01-11 台東区における墓地関連産業振興政策の検討に関することについての陳情

受理年月日 令和元年5月22日 受理番号 陳情01-11
委員会付託日 令和元年6月4日 付託委員会 産業建設委員会
委員会審査日 令和元年6月20日
議決年月日 議決結果 ※審査中
陳情01-11
  台東区における墓地関連産業振興政策の検討に関することについての陳情

陳情元−11(写)
     台東区における墓地関連産業振興政策の検討に関することについての陳情
主旨
 台東区内における墓地関連産業に関して、官民を挙げた積極的な振興策や仕組みづくりを行うことを目的とした、台東区、区内の関連産業団体、および有識者などから成る検討委員会を設置することを希望する。
理由
 台東区内に存在する寺院の総数は344であり、これは都内でも有数の寺院集積地区にあたります。この寺院に関する関連産業もまたたいへん幅広く、葬儀社、仏具店、石材店、生花店、法事の後席のための飲食店、さらにはお墓詣りの際の観光まで、経済的に波及するところは台東区全体で相当規模になると思われます。まさに台東区にとっての主要産業群の一つといっても過言ではありません。しかしながら一方で、この寺院経済を根元で支えている寺院墓地の経営に関連して、台東区は積極的な施策を行ってきてはおりませんでした。これには、墓地に関わる様々な権限が区ではなく東京都にあったことが大きく影響していると思われます。
 しかし平成24年、「墓地、埋葬等に関する法律」が改正され、それまで都道府県が持っていた霊園開発・墓地経営の許可権限などの、墓地に関わる様々な権限が市や区に移譲されました。これにあわせて台東区でも、「東京都台東区墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例」とその条例施行規則とを設けております。ここにおいて台東区は、墓地に関する施策を自前で行うことのできる余地を手に入れたことになります。
 現在、寺院墓地をめぐる状況にはたいへん厳しいものがあります。
 現行の寺院墓地の制度は、直系家族による祭祀の承継を前提とした、永代使用権取得による墓地使用が基本となっています。しかしながら、戦後の核家族化に加え、日本の総人口が2004年をピークに急激な減少局面に入ったことで、墓地の承継者がいない無縁墓が急激にその数を増大させています。子どもが親の遺骨の受け取りを拒否するなど、本来なら継承者となるはずの家族がいても実際には継承者にならないケースも増え、従来は単身者や子どものいない家族に特有の心配事とされていた祭祀者の不在やお墓の無縁化が、誰にでも起こりうる問題として急に浮上してきました。家族についての人々の意識が変化し、非伝統的な家族形態も現れてくる中で、伝統的な家族形態を前提とした従来の寺院墓地の制度が、その変化に対応しきれていない面があります。
 また、合葬墓や納骨堂、自然葬や森林葬、遺骨そのものを残さない「0葬」といった、伝統的な墓地に入らないような埋葬形態が様々に出現するに至って、埋葬についての人々のニーズも多様化し、伝統的な寺院墓地の存在感は相対的に低下をしてきています。
 さらには台東区の歴史的経緯に基づく地域特性として、いわゆる「特設墓地」の問題もあります。台東区低地部にある寺院墓地の多くは、関東大震災の後の帝都復興事業に際して大幅な区画整理事業が行われたなか、当時の東京市からの通達に基づいた「特設墓地」なる形態をとっています。これは、鉄筋コンクリートによって一体的に造られた墓地躯体の中に、細かく区画を設けて使用権者に割り当て、各使用権者が自前で墓石を置くというものです。特設墓地のほとんどが昭和5年前後に設置されており、現在、その老朽化が大きな課題になっていますが、改修には多額の費用がかかるため、多くの寺院が将来に向けた墓地の継続について課題や困難を感じています。
 このように、台東区内における寺院墓地については、現在様々な問題があり、事業継続についてもたいへん難しい状況が起きているところです。これら問題の根源は何よりも歴史的な社会の変化にあり、これに個々の寺院が個別に対応していくことには、やはり限界があると言わざるをえません。
 現代日本の墓地に関する法制度の基本的な考え方として、公衆衛生並びに公共の福祉を確保するという観点から、事業の永続性が何よりも重要な課題とされています。墓地埋葬法において、墓地経営の主体を地方公共団体と宗教法人、公益法人に限定していることは、この考え方によるものです。
 寺院墓地の事業継続が様々に困難を抱えていることは、寺院集積地区である台東区の経済的基盤に影響を与えるだけでなく、公共の福祉の問題であるとも言えます。台東区内の墓地関連事業の安定性を確保することは、台東区の社会的使命でもあると私は思うところです。
 それゆえに私は、台東区内における墓地関連産業に関して、官民を挙げた積極的な振興策や仕組みづくりを早急に行うことが必要ではないかと考えています。まずはこのことを目的とした、台東区、区内の関連産業団体、および有識者などから成る検討委員会の設置を強く希望するものです。
補足説明事項
 今回の陳情に関しては、「墓地政策とは特定宗教(仏教)に関わる政策であり、政教分離の原則に反するのではないか」という指摘が予想されるところです。しかし陳情者がここで考える墓地政策は、台東区が有数の寺院集積地区であり、これに関わる関連産業の規模も大きいという現状を鑑みての、台東区の産業振興策であり、公共の福祉に関わる社会的資本の安定についての政策です。
 墓地政策は、宗教感情にのみ関わる問題ではなく、「公衆衛生その他公共の福祉」(墓地埋葬法第1条)に関するものと規定されています。このことは、墓地に関する取り扱い部署が保健所になっていることからも明らかです。また、いくつかの裁判の判例においても、墓地においては公共の福祉が宗教的観点より優先されることが明確に示されております。(一例として、ある寺院墓地において、宗派の異なる者の遺骨の納骨を、寺院が拒否したことについて争われた事例があります。裁判所の判断は、公共の福祉の観点から寺院の主張を退け、納骨することを求めるものでした。)
 現在、台東区においては、訪日ムスリムのためのハラール産業を支援する政策を取っております。この支援に関しては、過去に台東区議会の委員会審議において、政教分離の原則に抵触するのではないかとの意見が出ておりました。しかしながら、観光推進策としての側面をより重視する観点から採択され、結果として区の施策として現在も継続的に行われております。この件と同様のご判断を、この度の陳情に対してもいただけることを強く希望するところです。
                                      (以上) 
  令和元年5月22日
台東区議会議長
   石 塚   猛 殿