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陳情26-31 原発再稼働に関する意見書提出についての陳情

受理年月日 平成26年9月5日 受理番号 陳情26-31
委員会付託日 平成26年9月11日 付託委員会 企画総務委員会
委員会審査日 平成27年2月13日
議決年月日 議決結果 審議未了
陳情26-31
  原発再稼働に関する意見書提出についての陳情

陳情26−31(写)
       原発再稼働に関する意見書提出についての陳情
(1)陳情趣旨
チェルノブイリを超える規模の事故とされた福島第一原発事故はいまだに収束の見通しがたっておりません。地下水の流出と海洋放出が止まらないまま、汚染水処理の要である多核種除去設備(ALPS)は計画通り稼働できず、東電は目標としていた年度内全量浄化処理が達成困難であると認めました。かたや大規模な汚染水漏れも発覚し、海に放射性物質を大量流出させていることも東電は認めるに至りました。東電は昨年7月にも、配管内の汚染水から1リットル当たり23億5千万ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表しましたが、放射線量も毎時830ミリシーベルトに達し、人が安易に近づくことのできない状態が続いております。これは事故発生当初、2011年4月に海に流出していた高濃度放射能汚染水と同レベルです。一方で原子炉建屋への地下水流入を防ぐ凍土遮蔽壁の建設にも手間取っており、かつて安倍首相も「汚染水問題は喫緊の課題である」と認めざるを得なかったものの、場当たり的対応に終始する東電任せでは、もはや解決に向かうことができないのは明らかです。ましてや、滞る使用済放射性廃棄物の問題、原子炉の廃炉等の問題は、たとえ事故が防げたとしても、現状では何の解決策もないことが白日の下に晒されることになりました。国は、国民の命を守るためにも、また他国からの信頼を回復するためにも、「事故収束宣言」を早急に撤回し、問題を真に解決するために必要な体制の構築と抜本的対策をとることが急務です。政府が「エネルギー基本計画」の策定作業を進めるにあたり寄せられたパブリックコメントでは、公表分で実に95.2%が「脱原発」であったとされます。このような状況にありながら、基本計画にある原発を「重要なべースロード電源」と位置づけ、「安全性」が「確認された」原発を再稼働させることによって、なし崩し的に原発依存の政策を推進しようとすれば、日本国民のみならず、全世界から日本に対する信頼を失うこととならざるをえません。福島第一原発の事故を少しも収束させることができず、被害地域の除染作業、救済対策も遅々として進んではいないこの期に及び、原発を再稼働させることなど到底容認できるものではありません。これまで電力大消費地域に生きてきて、不本意ながら原発に依存させられてきましたが、今回、原発の稼働がなくとも電力が足りることを知りました。しかも2012年エネルギー環境会議での資料によれば、原発を稼働したからといって2030年で電気料金が下がるわけではなく、原発ゼロでも再稼働させても電気料金には大差がないと知らされました。為替によるJカーブ効果を考えるなら、貿易赤字が一時的に増えてしまったとしても、日本が取りうる方策は世界に誇れる技術革新によって前向きに克服するというものであるべきです。先日の福井地裁判決文にあったように、たとえ「原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失」なのです。この事故により被害者であると同時に加害者にもさせられてきた者として、この際、原発事故の抜本的対策と、代替新エネルギーの開発に集中的に資源と資金を投入し、世界に名だたる安全安心な技術立国日本への真の信頼を勝ち取るためにも、まずもって原発再稼動を取りやめ、原発に依存しない明るい未来を次世代に遣していかねばならないと考えます。以上の趣旨から、国と都に対し、「原発の再稼動に関する意見書」(下記は案文)を台東区議会として提出することを陳情いたします。
(2)「原発再稼働に関する意見書」案文
2020年、東京でのオリンピック開催が決定しております。
これは招致に携わった方々だけでなく、多くの台東区民、東京都民、そして日本国民の尽力により、被災地への復興努力が認められた上での招致活動の成果でもあり、心から喜ばしいことであります。しかしながら、そのかたわら、全世界から関心を集めてしまったことがあります。
それは福島第一原発事故をめぐる状況です。私たちは完全にこの状況を掌握しており、東京オリンピック開催の2020年までに、安全・安心な日本を取り戻すことができるのだということを世界に向けて発信いたしました。したがって世界から多くの方々をお迎えするにあたり、この原発の事故と被災地の復興の問題は、私たち台東区民のみならず、東京都民、日本国民全員が背負うべき重要課題として改めて向き合わざるをえなくなったのです。それにはあまりに時間が限られております。
私たちは福島第一原発の事故の最終収束を危急のこととして目指し、真の意味での被災地の復興をオリンピックの成功につなげなければなりません。そのためにも、日本の「入口」であるこの台東区から、全世界に向けて原発事故への取り組みに対する世界の人々からの、日本に対する安全・安心、そして信頼を再び勝ち取るために、ここに原発再稼働に関する決意表明として意見書を提出するものです。
これらのことを踏まえて、
1)「原発事故収束宣言」を早急に撤回し、事故調査に基づき問題を真に解決するために必要な体制の構築と抜本的対策をとること。
2)特に、被災地域における除染作業、救済対策をさらに徹底すること。
3)使用済放射性廃棄物の問題、原子炉廃炉の問題、除染廃棄物の保管問題等にも取り組むこと。
4)将来の代替新エネルギーの開発に集中的に資源と資金を投入すること。
5)そして上記1)〜4)の目処が立って世界中の理解が得られるまで、原発の再稼働はしない。
以上を意見書として国と東京都に提出いたします。
  平成26年9月5日
台東区議会議長
   和 泉 浩 司 殿