教育基本法の見直しに反対する意見書
議員提出議案第5号
議決日:平成16年6月25日
議決結果:否決(賛成少数)
議員提出第5号議案
教育基本法の見直しに反対する意見書
上記の議案を提出する。
平成16年6月25日
提出者 東京都台東区議会議員
橋 詰 高 志
伊 藤 友 子
稲 垣 晃 司
杉 山 光 男
茂 木 孝 孔
東京都台東区議会議長 伊 藤 萬太郎 殿
(提出理由)
この案は、教育基本法の見直しに反対するため提出します。
教育基本法の見直しに反対する意見書
昨年3月、中央教育審議会(中教審)が「教育基本法の改正と教育振興基本計画の策定をすすめていただきたい」とする答申をまとめた。教育基本法の「改正」が現実の政治課題にのぼる重大な局面になっている。
今日、教育基本法の見直しを求める人たちの議論を聞くと、現在の教育が荒れている原因を教育基本法に求めるのが特徴である。しかし、この議論には根拠も道理もない。反対に、政府の長年の教育政策が、「人格完成」を教育の目的とし、国家権力による「不当な支配」を許さないなどの、教育基本法に明記された理念と原則を踏みにじってきたことが、教育の荒廃をつくりだしたのである。
中教審答申が、教育内容等への国の関与を強調した「教育振興基本計画」の策定を教育基本法に加えるとしているのは重大な問題である。現行法は、国による教育への「不当な支配」を禁じ、教育行政の任務を「教育条件の整備」に限定している。ところが、政府は学習指導要領をはじめ教育に介入し、そのことが学力問題など教育を行き詰まらせてきた。この失敗済みの教育への「不当な支配」を正当化し、拡大しようとするのが、中教審答申なのである。また、答申が、「国を愛する心」を教育理念に加えようとしていることも、思想・信条の自由を守る見地から国民の懸念と批判を招いている。
このように、中教審答申に沿って教育基本法が見直されたなら、教育の矛盾と荒廃はいっそう激化することになる。教育基本法は変える必要はないのである。いま大切なことは、教育基本法の精神を教育の立て直しに生かすことである。教育基本法がうたうように「人格の完成」に教育の目的を据え、子供たちを苦しめている「競争と管理」の教育を改め、「教育の機会均等」や「条件整備」に国も自治体も強めることこそ肝心なのである。
よって台東区議会は、教育基本法を見直し、「改正」することに強く反対するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
年 月 日
台東区議会議長名
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣 あて