「D’グランセ池之端三段坂」建設工事の延期を要望することについての陳情
受理日:平成15年9月19日
陳情15-107
付託委員会:産業建設
付託日:平成15年9月19日
審査日:平成15年10月1日
審査結果:取下げ許可(全員賛成)
議決日:平成15年10月24日
議決結果:取り下げ(全員賛成)
陳情15−107(写)
「D’グランセ池之端三段坂」建設工事の延期を要望することについての陳情
今般大和ハウス工業株式会社が建設を行おうとしている標記マンション(台東区池之端4丁目219番19他)の建設に関し、以下のような住民軽視・行政軽視が行われている実状に鑑み、至急、台東区議会において、事態収拾までその工事を延期する手だてを講じていただきたく、お願い申し上げます。
<背景>
池之端4丁目(旧・谷中清水町)の「谷中三段坂近隣」は、東に上野公園、東京芸術大学、寛永寺、上野高校等を、西に根津(旧宮永町、藍染橋)に至る下町商店街を、北に由緒ある寺町・著名史跡と下町街区等を、そして南に不忍池や東京大学等をのぞむ、都内有数の歴史的・文化的な文教地区です。
また、谷中一帯は、「谷根千」と呼ばれるように江戸の下町住宅街の面影を残しつつ、関東大震災、太平洋戦争をくぐりぬけたばかりでなく、バブル期の地上げの被害も最小で押さえられた都内では希有な土地の一つであります。
また、当該地域は周囲に多くの文化的施設や大学・高校等を控える文教地区であるばかりでなく、また下町の一角として、粋でいなせな庶民生活文化も残り、それらの融合する伝統的・文化的地域である点が特徴であると言えます。つまり、江戸以来の新しい人々を受け入れて新しい文化を育むところでもあるのです。
この「谷中三段坂近隣」は代々の居住者が自然な配慮を相互にしながら作り上げてきた「由緒ある住宅地」である点を、ここに強調したく思います。
これらを踏まえれば、住民一同ならびに関連する人々が、景観をはじめとする居住環境や通学・通勤環境をよりよくすること、またそれを十分に踏まえていない建築計画等には見直しを計ってもらうべく要望をすること等は当然であるといえるでしょう。この近隣を守ると共に、さらによりよい環境にしていくことが住民全体の願いだからです。
<状況>
上記の状況であるにも関わらず、今回のマンション建設を計画している大和ハウス工業株式会社は、次のような住民軽視・行政軽視の行動を行っております。
★住民軽視の行いとは、
・ 「全体説明会」 開催に関する度々の強い要望を一方的に拒絶していること。
・住民がやむをえず社長宛内容証明つき書面で送付した要望に関して、期日まで何らの返答をしないということ(態度・姿勢)。またそれに関する確認問い合わせ等についても、まったく返答をよこさないこと。
・例えば「議事録」を整備しないばかりか、住民の了解も得ずに勝手に「議事録(もどき)」を他の住民に配るとか、住民毎に異なる書面を配布する等、住民を混乱させるような、世間一般のビジネスマナーにのっとらない住民軽視の行動の数々。
・住民に対する、住民会合や訪問時における住民感情を逆撫でするような言動の数々、および稚拙な態度、応答等のビジネスマナー。
★行政軽視の行いとは、
・台東区の定めた「東京都台東区中高層建築物の建設に関する紛争の予防と調整に関する条例」の精神にのっとった対応をしていないこと。
・台東区役所の度重なる「説明会開催」の要望に対応しないこと。
以上のことから、建築主である大和ハウス工業株式会社が、今までの住民軽視・行政軽視と見られる数々の行いについて反省(謝罪)を行った上で、本件をもう一度最初から取り組み直すように、住民代表である議会から該当企業へ申し入れしていただくことをお願いします。
取り組み直しとは、具体的には、
(1)下記の協定ならびに工事協定が交わされるまで工事を始めないこと。これが最優先・最重要である。
(2)住民に対して全体説明会を住民が理解・納得いくまで行った上で、個別説明へ移行すること。個別説明等も誠意をもって行うこと。(年輩者の多い本地区では、案件に関する理解の促進、誤解の除去、言った・言わないといった類の争いの防止のために、全体説明会は必須である。)
(3)住民から社長宛に要望している「協定書」を締結すること。特に、景観上圧迫感のない建築物にすることに最大限の配慮をしていただくことを要望しているので、その点での最大の配慮が求められる。
(4)協定等、住民との合意があった後、適切なる補償等をしっかり行うこと。
以上のとおり、住民軽視・行政軽視に対して、まず工事を延期させ、その上で、業者側が拒んでいる全体説明会を開催させるといった常識的なプロセスを、強く行政から指導していただくようお願いします。
本件のような、マンション紛争は台東区内において頻発しており、これら紛争への手だてが講じられないようでは「東京の老舗」として悲しい事態であります。ぜひとも見識ある台東区議会の行動をお願いする次第です。
平成15年6月19日
台東区議会議長
堀 江 達 也 殿