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陳情 審査結果一覧

詳細情報

件名

市民と共に「いじめ」「自殺」「児童虐待」「犯罪」等を減らす取り組みを求めることについての陳情

受理年月日

受理番号

陳情07-1 

付託委員会

付託委員会:企画総務委員会
審査日:令和7年2月28日

本会議議決結果

議決日:令和7年3月26日
議決結果:不採択(全員賛成)

内容

陳情7−1
   市民と共に「いじめ」「自殺」「児童虐待」「犯罪」等を減らす取り組みを求めることについての陳情
 「地域の治安を良くすること」
 これは、自治体の重要な「使命」の一つです。
 なぜなら、「犯罪」「いじめ」「児童虐待」「自殺」「死亡事故」等が多発する社会、また、「失業者」や「ホームレス」等が救済されない社会であったら、人間が「幸せ」を感じるのは難しいからです。
 私は、このような考えから、「市民と共に『いじめ』『自殺』『児童虐待』『犯罪』等を減らす取り組み」について、陳情したいと思います。
現状認識
 現在の日本の治安は、いい状態とは言えません。
 政府の発表によると、2023年に全国の小、中、高、特別支援学校で認知された「いじめ」の件数は732,568件です。これは、1日に約2,007件認知されたということです。
 同じく2023年の全国の「自殺死亡者数」は、21,837人で、1日約60人が亡くなったということです。
 2022年の全国の「児童虐待相談件数」は、214,843件で、1日約589件の相談があったということです。
 2023年に全国で起きた「殺人事件」は、912件でした。1日平均、約2.5人が殺されたということです。
 「強盗」は1,361件起きました。1日約3.7人の方が被害にあったということです。
 「不同意性交等(強制性交等)」は2,711件で、1日約7.4人の方が被害にあっています。
 多くの人は、このような状況に慣れてしまったせいか、無関心でいますが、私は、これは異常な状態だと思っています。
 特に、「自殺死亡者数」に関しては、G7の中で最も多いという、非常に残念な状況にあります。
 多くの自治体は、これらの問題に対処するために、様々な取り組みをされていると思いますが、目立った成果は出ていないようです。
 それどころか、これらの数値は、全て、前年と比べて増加しています。
 私は、このような状況を改善するために、ある施策を考えましたので、是非、自治体の運営に取り入れていただきたいと思っております。
 多くの人が苦しんでいる今の状況は、普通ではありません。放置してはいけないと思います。
 治安を回復し、より良い社会を実現するために、是非、前向きに検討していただきたいと思います。
提案(陳情内容)
 私の提案は、次の2つです。
1:自治体(市区町村)が、その地域の「治安の状態」を数値化し、図表をつくり、自治体のホームページや機関誌等で公表し、市民と共有する
2:「1で公表した数値を減らす方法」を考え、「数値目標」を決め、「実施計画」を立て、公表し、市民と協力して、それを行う
 以下、それぞれについて説明いたします。
1:自治体(市区町村)が、その地域の「治安の状態」を数値化し、図表をつくり、自治体のホームページや機関誌等で公表し、市民と共有する
 現在、日本政府は、治安に関する様々な統計データをネット上に公開していますが、私は、それらの中で、以下の17の項目の数値を減らすこと(人口増減は除く)が、「より良い社会」を実現する上で、特に重要だと考えています。
1:社会の状況 計9項目
自殺死亡者数、いじめの認知件数、児童虐待相談件数、死亡事故発生数、完全失業率、ホームレス数、離婚件数、ひとり親世帯数、人口増減数
2:犯罪の認知件数 計8項目
「強盗」認知件数、「殺人」認知件数、「不同意性交等(強制性交等)」認知件数、「不同意わいせつ(強制わいせつ)」認知件数、「窃盗犯」認知件数、「放火」認知件数、「略取誘拐・人身売買」認知件数、「来日外国人による刑法犯・特別法犯」総検挙件数
 私の一つ目の提案は、自治体(市区町村)が、これらを数値化し、図表をつくり、自治体のホームページや機関誌等で公表し、市民と共有することです。
 ここで重要なのは、「市民と共有すること」です。
 また、そのために必要なのは、ホームページや機関誌に掲載する等して、「市民がいつでも見られるようにしておくこと」、「定期的に公表し、しっかり伝えること」です。
 積極的に情報を発信して、「治安の状態を市民と共有すること」が、とにかく重要です。
※これらの項目を数値化する理由については、後ほど補足で説明します。
※資料の後半に、東京都のこれらの項目を数値化した図表を参考として添付しています。
この取り組みのメリット
 この施策には、主なメリットが5つあります。
 メリット1:市民の「社会意識」が高まる
 「地域(市区町村)の治安の状態」を数値化し、図表をつくり、常に、自治体のホームページや機関誌等に掲載しておけば、その地域に住む全ての人が、自分が住んでいる地域の状態を、いつでも数値で確認することができます。
 そのため、その地域に住む人が「地域の課題に関心を持つようになる」「社会意識が高まる」「地域に愛着を持つようになる」「地域の政治に関心を持つようになる」「地域に貢献するようになる」といったことが期待できます。
 市民の「社会意識」が高まることは、自治体のあらゆる活動に、プラスに作用します。
 メリット2:子供に、地域の課題を「自分ごと」として考えさせることができる
 この取り組みを、地域の小・中・高校の道徳教育に取り入れれば、地域の子供に、子供の頃から、地域の課題を「自分ごと」として考えさせることができます。
 このような教育を、子供の頃から継続して行えば、子供の「社会意識」は、自然と高まると考えられます。
 メリット3:自分が住んでいる地域の「良し悪し」が分かる
 公表する数値は、「地域の良し悪しを判断する基準」になるので、政治に詳しくない人でも、その数値を見ることによって、自分が住んでいる地域が「いい状態か、悪い状態か」「良くなったか、悪くなったか」「他の地域と比べてどうか」等を知ることができます。
 メリット4:自治体で働く人の「責任感」と「真剣さ」を高めることができる
 この取り組みを全国の全ての自治体(市区町村)で行えば、日本の全ての自治体を数値で評価できるようになるので、自治体で働く全ての人の「責任感」と「真剣さ」を高めることができます。
 メリット5:コストがかからず、リスクがない
 17の項目は、全て政府と警察庁のホームページに掲載されているので、新たに調査する必要がありません。つまり、実施するにあたって、コストが、ほとんどかからず、リスクが、ほとんどないということです。
この取り組みのデメリット
 デメリットというほどのことではありませんが、それぞれの数値を調べ、図表をつくり、公表する作業が必要になります。
 これらの数値は、政府が都道府県別で、ネット上に公開していますが、市区町村別の数値は、一部の地域を除いて公開されていません。
 ただ、集計は、市区町村ごとに行われているようなので、問い合わせることによって、知ることができると思います(東京都の犯罪の発生件数は、市区町村別で公開されています)。
 また、以前、私が八王子市役所に、八王子市における「自殺死亡者数」「いじめの認知件数」「児童虐待相談件数」を問い合わせたところ、教育委員会の方針で、八王子市の数値は公開していないとのことでした。ただし、把握はしているとのことでした。
 自治体によっては、一部の数値は公開しづらいのかもしれませんが、私は、むしろ積極的に公開するべきだと考えています。
 なぜなら、「現状を知ること」なしに、改善することなどできないからです。治安を良くする上で、「現在の治安の状態を知ること」は、避けては通れないのです。
 現状から目をそらさず、市民の幸せに直結するそれらの数値を公開し、市民と共有することこそ、誠実な態度なのです。
 より良い社会を実現するために、是非、この重要な一歩を踏み出してほしいと思います。
2:「1で公表した数値を減らす方法」を考え、「数値目標」を決め、「実施計画」を立て、公表し、市民と協力して、それを行う
 二つ目の提案は、一つ目の提案で説明した「17の項目」のすべて、もしくは一部の数値を減らす方法を考え、「数値目標」を決め、「実施計画」を立て、公表し、市民と協力して、それを行うというものです。
 ここで重要なのは、「数値目標」「実施計画」「具体的な取り組み」等を、「市民と共有すること」です。
 また、「市民に対して、定期的に進捗状況を伝えること」、そして、「その活動を、政治の仕組みとして定着させること」も重要です。
 ここでも、「市民と情報を共有すること」が、何より重要です。
 この施策のメリットは、これをしっかり行えば、少なからず、その数値が減ることです。
 また、その地域に住む全ての人が「共通の目的」を持つことになるので、地域の団結が得やすくなりますし、地域がまとめやすくなります。
 この取り組みのデメリットは、「数値を減らす方法」を考え、「数値目標」を決め、「実施計画」を立てるのに、時間と労力がかかることです。
 また、市民と協力して、それを行うためには、行政の適切なリーダーシップが必要になります。
実施例
 これは、あくまで一例ですが、自治体(市区町村)が、以下のことを行えば、市民の「社会意識」を高め、市民の「理解」と「協力」を得て、それらの数値を減らすことができると考えられます。
・対象地域(市区町村)の治安の状態(17の項目)を数値化し、図表をつくり、ホームページ等で公表する。
・「数値を減らす方法」を考え、「数値目標」を決め、「実施計画」を立て、それを公表する。
・実施する。PDCAサイクルを回す。
・17の項目の月間、年間の数値、活動の進捗状況等を、自治体のホームページや機関誌等で、定期的に公表する。
・地域の小・中・高校の道徳教育に、この活動を取り入れる。
 「数値化」と「公表すること」に関しては、17の項目すべてを数値化し、公表した方がいいと思いますが、実施に関しては、重要度が高いと思われる項目に絞って、実施した方がいいかもしれません。
 数値を減らすためには、「具体的な取り組み」が必要ですが、私は、家庭における道徳教育と学校における道徳教育を充実させることが、根本的に重要だと考えています。
 ですが、地域の課題や状況は、それぞれ全く違うので、何をどのようにするかは、それぞれの自治体が、その自治体の実状に合わせて決める必要があります。
補足説明 17の項目を数値化する理由
 数値化する17の項目
1:社会の状況 計9項目
自殺死亡者数、いじめの認知件数、児童虐待相談件数、死亡事故発生数、完全失業率、ホームレス数、離婚件数、ひとり親世帯数、人口増減数
2:犯罪の認知件数 計8項目
「強盗」認知件数、「殺人」認知件数、「不同意性交等(強制性交等)」認知件数、「不同意わいせつ(強制わいせつ)」認知件数、「窃盗犯」認知件数、「放火」認知件数、「略取誘拐・人身売買」認知件数、「来日外国人による刑法犯・特別法犯」総検挙件数
 上記の17の項目を数値化する理由は、これらが人間の幸せに、深く関わっていると考えられるからです。
 また、これらは、政府がネット上に公開しているので、新たに集計する必要がないからです。
 また、項目が多すぎると分かりづらくなりますし、対策がしづらくなるので、17個に絞りました。
 これらの項目は、政府が公開している治安に関するデータの中で、特に人間の幸せに関係していると、私は考えています。
 離婚件数については、分かりづらいかもしれませんが、令和5年に起きた自殺の2割以上が、家庭問題が原因であることから、離婚(家族の不和)は、人の幸せに大きな影響を与えていると考えられます。
 また、子供がいる夫婦が離婚をすると、夫婦の不和が、子供に、少なからず影響を与えてしまうので、子供の幸せに影響がでます。
 また、ひとり親家庭も、両親がいる家庭と比べると、子育てに影響があるので、子供の幸せに関係していると言えます。
 このような理由から、これらの数値を把握し、できる限り減らす取り組みをすることは、とても重要であると考えています。  ※離婚そのものを否定しているわけではありません。
 人口減少は、地方の自治体においては、非常に重要な課題です。
 そのため、人口増減数を、ホームページ等で常に見られるようにしておくこと、また、学校教育で子供に教え、子供の頃から、そのことについて考えるようにしておくことは、とても重要だと考えます。
 犯罪の認知件数は、人間の幸せに直結している重要な問題です。
 それらを減らすためには、家庭と学校における道徳教育と、地域の啓蒙活動を充実させることが根本的に重要だと考えますが、犯罪の種類によって、取り組むことが少し違ってきます。
 例えば、窃盗を減らすためには、経済対策が必要かもしれません。「不同意性交等(強制性交等)」と「不同意わいせつ(強制わいせつ)」を減らすためには、「男女の人間関係のあり方」についての教育が必要だと思います。「強盗」「殺人」「放火」については、家庭環境が悪い人に対する生活のサポート、育児の相談、生活相談が必要かもしれません。
 また、市民の防犯意識を高める啓蒙活動も重要だと思います。
最後に
 現在、「いじめ」「自殺」「児童虐待」は、社会問題として注目されていますが、改善する兆しが見えません。
 恐らく、今行っている取り組みを続けているだけでは、改善できないと思います。
 私の提案は、この状況を打破するための新しい取り組みです。
 この取り組みを継続して行い、行政の「仕組み」として定着させることができれば、必ず成果が得られるはずです。
 私は、この取り組みが、全国の市区町村、都道府県で行われるように働きかけています。
 全国の市区町村、都道府県がこの取り組みをすることによって、日本全体の治安が良くなる、より良い社会が実現する。それが、私が期待していることです。
 日本全体の治安を良くするために、是非、この施策を自治体の活動に取り入れていただきたいと思っております。
 場合によっては、二つ目の提案は、実施するのが難しいかもしれませんが、一つ目の提案だけでも、是非、行っていただきたいと思っております。
  令和7年1月15日
 台東区議会議長
      森 喜美子 殿

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