全ての原発の停止及び再稼働取り止めの意見書の提出を求めることについての陳情
受理日:令和3年2月12日
陳情03-10
付託委員会:企画総務委員会
付託日:令和3年2月12日
審査日:令和3年3月5日
議決日:令和4年3月28日
議決結果:取り下げ許可(全員賛成)
陳情3−10(写)
全ての原発の停止及び再稼働取り止めの意見書の提出を求めることについての陳情
1)福島原発事故から間もなく10年になろうとしていますが、まだ収束していません。
先日も、原子炉格納容器の上蓋が極めて高濃度の放射能で汚染されているとの報道がありました。規制委員会の更田委員長も「格納容器の底にあるデブリが、高いところにあるようなもの」と危機感をあらわにしています。廃炉計画に大きな影響が出るとみられます。
高濃度のトリチウム等を含む汚染水も増え続けています。政府は、希釈して海洋放出しようとしていますが、全国漁協や福島の漁協・農協・森林組合が反対し、決定は先送りになっています。県民の復興への努力を意に介しない菅内閣の冷酷さがあらわです。
2)ひとたび事故が起きれば、甚大な被害と先の見えない長期の困難をもたらすのが原発です。
未だに8万を超える避難者が故郷に戻れない状況ですが、全町避難の双葉町では、「町に戻りたい」とアンケートに答えた町民は11%、富岡町では8%です。町自体の存続が危ぶまれています。
被災した福島県内の市町村の将来像を示すために設けられた政府の有識者会議の提言の概要案から、前回(2015年)にはあった「復興・再生は国の責務」とする文言が消えました。菅内閣が発足時に決定した内閣基本方針に、東日本大震災や原発事故の対応が盛り込まれていないことが批判されたばかりです。国は責任を持って、地域の復興と事故処理を行うべきです。
3)裁判でも、再稼働への根本的な疑義が示されています。
大阪地裁は昨年12月、大飯原発に対する原子力規制委員会の設置変更許可を「不合理」として取り消す判決を言い渡しました。規制委の審査が安全性を保証したものではないとし、原発の存在そのものへの疑義を示したものです。
広島高裁による伊方原発の運転差し止めの二度目の判決も記憶に新しいものです。
4)原発は人類とは共存できません。再生可能エネルギーへの転換こそ必要です。
稼働以来40年を経過した老朽原発も問題です。高浜原発では、蒸気発生器の細管の損傷事故が続いています。関電は、その原因を運転にともない発生する鉄酸化物によるものとの見解を初めて示しました。老朽化そのものが原因です。再稼働などもってのほか、廃炉しかありません。
「核のゴミ」の最終処分場問題が、北海道の神恵内村と寿都町の文献調査への応募表明で再燃しています。原発の運転により発生する放射性物質を含む使用済み核燃料を保管・処分する場所など日本にはありません。地震大国の日本で、10万年もの期間誰が責任を持つというのでしょうか。
年末に菅内閣が決定した「グリーン成長戦略」は、「二酸化炭素排出量の削減」を理由に原発の再稼働、更には新設を視野に入れた危ない内容になっています。
18年3月に野党が共同で提出した原発ゼロ基本法案は、未だに審議すらされていません。
5)ついては、国民が安心して暮らすことができ、子育てできるように、貴区議会において、全ての原発の停止及び再稼働を取り止めのため、政府に意見書を提出していただくよう陳情いたします。
令和3年2月2日
台東区議会議長
石 塚 猛 殿