「(仮称)西浅草3丁目計画」についての陳情
受理日:平成20年9月12日
陳情20-36
付託委員会:産業建設
付託日:平成20年9月12日
審査日:平成20年10月1日
審査結果:不採択(賛成多数)
議決日:平成20年10月24日
議決結果:不採択(賛成多数)
陳情20−36(写)
「(仮称)西浅草3丁目計画」についての陳情
私共は、台東区西浅草三丁目18−1(地番)外に建設予定の「(仮称)西浅草3丁目計画」新築工事の近隣住民です。これまで本計画について、建築主側(建築主:藤和不動産株式会社(千代田区八重洲2−3−13)及び株式会社モリモト(渋谷区恵比寿南3−7−4)、設計者:株式会社フジタ 一級建築士事務所(渋谷区千駄ヶ谷4−25−2)及び株式会社時空開発 一級建築士事務所(千代田区九段南4−5−11)、施工者:未定(解体工事等:株式会社フジタ東京支店(渋谷区千駄ヶ谷4−25−2)と話し合いを重ねてきましたが、未だ解決できていません。そこで過日「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、東京都知事宛陳情書を提出致しました。
当事者間での話合いから本陳情書を提出するに至ったのは、本建築計画が近隣の環境や住民に著しい影響を与えること、建築主が誠意のない態度を続けていること等によります。詳細については、以下のとおりです。
1 陳情に至った理由
今回の陳情書提出に至るまで、地元(極めて限定的な建設予定地周辺住民)においては、既存建物解体にかかる説明会(平成20年1月15日)がなされましたが、当該説明会では既存建物等解体後の新築計画の概要に関して、席上質問が多数なされたにもかかわらず新築計画に関しては一切説明はなされず、既存建物の解体が進められました。
その後、地元に新築計画についての説明・合意形成などがないまま、今夏、唐突に任意の地元説明会(西浅草三丁目北部町会の範囲)が平成20年6月23日及び7月15日に開催され、東京都との事前協議・指導による「総合設計」(既定の容積率:500%が800%に緩和)の適用をうけた、地上38階・地下2階・塔屋2階(最高高さ136.79m)の超高層マンション計画の概要がはじめて明らかにされました。
当該説明会の席上では、(1)現在の、周辺地域の平均的な建築規模との不整合、(2)広場状公開空地の有用性への疑問(一部からは祭礼時等の広場の必要を求める声もあるが、当該計画のような公開空地については不要論が強い)、(3)北側に存する街区公園含め近隣への風害・日照等さまざまな環境の悪化・インフラに掛かる過重な負荷懸念、(4)大規模住棟の建設による地元コミュニティの劇的変容の問題、(5)広域に掛かる問題として景観形成上の問題―超高層の建造物が伝統的な旧市街地に相応しい建築形態であるのか、など計画の根幹に係わる疑義が呈され、また、それら計画の問題点改善のための再考のために計画地周辺において適宜の計画再考の検討会(ワークショップ)等の開催などが地元住民から提案されましたが、建築主・事業者側からは「(提示の超高層の建築計画に)ご理解賜りたい」「(検討会の開催等は)即答できない」との言辞の繰り返しで、今に至るまで、それら計画の根幹に係わる疑義・提案に対して、何ら誠意ある回答を得られていません。
次いで、「東京都中高層建築物の建築の紛争に係わる紛争と調整に関する条例」に基づいた条例依拠の(いわゆる2h範囲に対する)広域の説明会が、平成20年7月16日及び20日に計2回目なされましたが、上記と殆ど同様の形式的説明に終始し、当方からの再度の質疑(内容は同前)について、同様に回答がなされず終わりました。特に16日においては、説明会の席上、激怒した住民と若干の混乱を生じるに至り、今回の計画の経緯について、平成20年7月18日付の東京新聞夕刊において取り上げられるような事態に発展致しました。
その後も解体中の解体部材崩落事故の対応、粉塵・騒音への対応等個別の苦情への対応は形式的になされているものの、地域との計画説明・修正協議については具体的に応じる態度はなく、建築主・事業者側は、これまでの住民からの、超高層計画に関しての根幹に係わる質問や計画修正への要望に対する回答もしないまま、このまま着工するのではないかと懸念しています。そこで、以下のように陳情をいたします。
2の1 陳情の内容(主旨)
第1
「(仮称)西浅草3丁目計画」新築工事について、上の経緯に鑑みて、台東区として、長期の地元のまちづくりの方策や景観・観光施策と整合性があるものになるよう、事業者に対して適切な指導を行い、かつ同様に、本計画について、東京都に対し、総合設計制度の適用について慎重を期すべく、適切な意見具申をなすべきことを区当局に強く求めること。
第2
周辺の生活環境の激変(発生交通量や上下水道等、インフラに掛かる負荷)、ならびに、災害時対応の観点から、区として、然るべく当該計画の当否、乃至、対応を検討すべきこと。また「(仮称)西浅草3丁目計画」新築工事については、既存のマンションの建替等が事業中に組み込まれており、建築計画のみならず事業計画としても無理のある超高層建築への改築計画によって、旧マンション住民や、用地買収に応じた旧住民の地域への復帰について混乱が生じつつある。これについて第一の主旨と兼ねて、台東区として取りうる措置について十分検討を求めること。
2の2 陳情の内容(各論)
(第1)建築計画についての陳情
@超高層建造物の建築を可能とする、今回の建築計画の骨格となっている「総合設計制度」の運用・適用について、特定行政庁たる東京都に対し、地元自治体として然るべき意見具申をなし、運用について、地元の地域の状況にそぐうものになるよう、慎重な検討を行うこと。また、台東区内においては、生活環境・まちなみ・景観・歴史環境等の様々な側面から詳細に検討し、これら総合設計・特定街区等の濫用・大規模開発による環境の激変を抑止する施策の検討を早急にはかること。
すなわち、本計画においては、既定の容積率と道路斜線制限等に従った、地域の平均的な建築物の規模による街区修復型の建築計画とすること。(この際、既定容積の範囲内においても街並み形成・維持の主旨から「天空率」を用いた高層設計も望ましくないことを付記する)これによって、以下のA以下の各条の問題の根幹が改善されます。
A日照阻害・風害・電波障害等の緩和
当該の計画地域はもとより商業地域(建蔽率:100%・容積率:500%)で、建築物の稠密な地域であり、日影・風害・電波障害の問題等には寛大な地域でありますが、建築主が配付した日影図(冬至)によると、計画地の北側に隣接する公園(金竜公園)では2時間以上の滞留が認められ、かつ計画地北側の街路・計画地内に予定されている空地では4〜5時間の滞留がある等のほか、広域に及ぶ日影の影響があり、超高層建築物特有の日照阻害の除去・緩和を要求しています。
B圧迫感の軽減・超高層棟のガラスによる「光害」について
当該計画では、敷地の南北で広場状の公開空地による後退をとり、かつ敷地西側6m街路からも道路幅相当程度の後退、敷地東側の既存建物群(所謂「二項道路」に接する複数の家屋群)からも4m程度の後退と植樹が提案されているものの、140mに迫る高さの超高層建築から圧迫感や、超高層棟のガラスによる太陽光の乱反射(所謂「光害」)は全く軽減され得ないため、@に求めるよう、東京都に対して「総合設計制度」の適用による超高層建造物の建築を取りやめるよう申し入れています。
Cプライバシーの保護
計画建物は周辺を完全に見下ろすかたちの超高層建造物であり、いかなる目隠し等をバルコニーに設けようとも、近隣接住居の居間・屋上等は一望されることは自明であり、プライバシー保護のためにも@に求めるよう、東京都に対して「総合設計制度」の適用による超高層建造物の建築を取りやめるよう申し入れています。
Dまちなみ形成・広域の景観にかかる問題
現在、台東区では歴史ある街としての景観整備・観光振興につとめつつある旨、区公報等で仄聞しておりますが、その方針と当該の超高層建造物の乖離・違背について疑義を呈するものであります。
台東区内においては、現在、超高層建造物は、千代田区境の1棟、紛争事案となった池之端における1棟、国際通り沿いの旧国際劇場跡(現・浅草ビューホテル)1棟の計3棟のみであり、上野公園等高台からの眺望、浅草寺境内及びその付近からの眺望、あるいは歴史的な市街地に相応しいきめ細かい景観整備を考える場合、既存の浅草ビューホテル(約100m)に近接して新たに超高層棟を設けることは、今後の長期にわたる地域の景観施策にとって大なる弊害となることを危惧します。
本点からも@に求めるよう、「総合設計制度」の適用による超高層建造物の建築については、超高層棟による現行呈示の建築計画を改め、地域の環境になじむ建築形態を念頭に置いた適切な指導や特定行政庁への意見具申についての検討を求めます。
(第2)解体等現況の諸工事中の環境悪化、及び「(仮称)西浅草3丁目計画」による超高層建築が竣工してしまった場合の周辺地域の生活環境・災害時対応等についての懸念等に対する陳情
@解体等、現況諸工事に伴う環境悪化について
標記の現在実施中の工事についても、粉塵・騒音・振動対策の不完全、及びそれらに対して地元住民が事業者に苦情等を申し入れた際の事業者の対応は、一部住民とは金銭で解決するなどの姑息の対応が見られるほか、総体として誠意があるものとは言えず、また、騒音・振動等に関しては、工事期間通じて観察すると、東京都・台東区が指導する数値を大きく超えており、この他、工事車両の出入等含め、台東区におかれては、事業者にこれら工事関連の環境問題の改善を強く指導するよう求めます。
A周辺地域の生活環境の激変・災害時対応等についての懸念
当該の地域は商業地域であって一定「にぎわい」を増す住民の増加は本来歓迎すべきことではありますが、当該の超高層マンション計画では、711戸の大容量が住戸として供給されることから局所的な人口急増が予想され、災害時の地元対応含め、地元社会に与える影響の大きさを顧慮して、計画についての詳細なアセスメントや、将来の超高層建築の更新時のスキームについても一定の責任のある見解を事業者に求めるべきであると考えます。
Bマンション旧住民・買収に応じた旧住民への対応
また一方、既存マンション(藤和西浅草コープ)の旧住民中、建替後、計画建物に戻る希望のある方、また、本計画に先行して、事業者の買収した土地に住んでいた方の内、計画建物に入居を希望する方々の地域への復帰についてはこれを歓迎するもので、区におかれても、当該計画の脆弱さ、事業者の対応如何による建築に係わる協議・係争の長期化等に伴う旧住民への補助等、あるいは計画修正の斡旋等、諸対応の検討を強く願います。
(以上)
平成20年9月8日
台東区議会議長
木 下 悦 希 殿