給食等の安全性確保についての陳情
受理日：平成23年9月12日
陳情23-33
付託委員会：区民文教委員会
付託日：平成23年9月12日
審査日：平成23年12月13日
議決日：平成23年12月19日
議決結果：趣旨採択(全員賛成)
陳情２３−３３（写）
給食等の安全性確保についての陳情
［陳情の理由］
台東区教育委員会は「市場に出回っている食材は安全であり、それで調理される給食は安全である」という盲目的な安全神話に基いた施策を行っている為、放射性セシウムに汚染された可能性の有る牛肉を学校給食に使用しました。広範囲に汚染されている現状では、検査していない食材の安全性は保証できず、教育委員会は子供達の健康を守れていない可能性が有るという事を、区は論理的に認識するべきです。
また、この事案に対して、保護者説明の安全の根拠が「少量で有る為健康に影響を及ぼすとは考えられない」という言い逃れになっています。低線量被ばくは医学的に未解明な事が多く、医師でもない一学者による安全のコメントは、各学会でも評価が分かれている現況においては信頼に値するものでは有りません。そもそも放射性物質の摂取総量（内部被ばく量）が正確に計測されているのであれば、それに相対して「少量」であるという結論を導く事が可能です。しかし一切の食材計測すらせずに安全を断言する事は非科学的で有り、教育を束ねる機関である教育委員会に対し、感情論ではなく学問的に信頼する事が不可能な状況です。さらには児童・生徒にとって「何が科学的であるかを教育する」にあたって、非常に障害となっています。（注１）
９月以降“秋の収穫期”を迎えるにあたり、或いは多くの食品加工物の原料在庫が福島県の原子力発電所爆発以降の産物になりつつある為、放射性物質による食材汚染の発生件数が高まる事が予想されます。
本陳情は、一ベクレルたりとも食材に混入させるなと言う事を要求するものでは有りません。食材検査は検査結果に時間を要する為、混入判明時には既に子供達の体内に取り込まれている可能性が排除できません。（注２）しかしながら「区は食材に対して注意を向けている」というアピールをする事で、業者の注意を喚起し不用意な汚染食材の混入を防止できるのは明らかです。今回の牛肉問題についても、生産業者と食肉業者は被害者側で有るかのような報道が一部に見られますが、人の命を左右する産業に関わる者としてのリスクマネジメントが出来ていない業者であるにすぎません。（注３）
［陳情事項］
以下、４項目について要望します。
１． 区は、公立、私立を問わず各教育機関（例えば保育園、幼稚園、小・中学校等）での給食で使用する食材の一部を、定期的に抜き取り検査し、その結果を公表する事。
２． 区は、前項に関し、汚染が明らかになった場合は、直ちに保護者に周知する事。また汚染が判明した地域の食材使用を控えるように各教育機関を指導する事。
３． 区は、第一項に関し、消費者庁が地方自治体に貸し出しを予定している検査機器の導入を検討する事。
４． 区は、第一項に関し、検査機器購入を検討する事。
以上
（注１）給食が安全かどうか子供に質されます。「お母さん、どうして給食は安全なの？ベクレルを測っているの？」『国で測っているから、大丈夫よ。』「でも牛肉は測っていなかったんでしょ？」『測っていなかったの。安全だと思われていたから。』「測らないのに安全だってどうして解るの？それに安全じゃなかったんでしょ？」
（注２）食材検査には様々な検査があり、“厳密さ”を求めるに従って“コスト”が変わってきます。もちろん最終的には100％の安全性を希望したいところですが、コスト面から難しいという事は理解できます。ですので、区には出来る検査から始めていただき、いずれは全区民が安心した食生活を送れるように力を尽くしていただきたいと思っております。教育委員会には「100％の安全性を保証できない事はやっても無駄」と考える方もいますが、例え１％でも放射性物質の摂取量が減らせるのであれば、子供の健康にとって良いと考えるのが親心であり、“閾値の無い低線量被ばく”の観点からは、十分に科学的で有ると言えます。
（注３）リスクマネジメントが出来ている畜産農家では、検査されていない汚染地域の産物を、家畜の飼料として利用していません。牛、豚、鶏肉、鶏卵にて、４月以降から放射能汚染されていない事を宣言している業者を確認できます。常識的な保護者で有れば、自分の子供に､検査済みで無い汚染地域内で生産された農産物は与えません。それと同様に､危険性を認識している畜産農家で有れば､汚染の可能性が有る飼料は、検査無しでは家畜には与えていません。
平成２３年９月６日
台東区議会議長
青 柳 雅 之 殿