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陳情 審査結果一覧

詳細情報

件名

「外国人へ日本の生活文化を伝える」ことについての陳情

受理年月日

受理日:平成27年8月14日

受理番号

陳情27-21 

付託委員会

付託委員会:区民文教委員会
付託日:平成27年9月9日
審査日:平成27年10月1日

本会議議決結果

議決日:平成27年10月26日
議決結果:不採択(全員賛成)

内容

 昨今、台東区では上野や浅草で外国人を見ることは珍しくない風景となりました。
 それと同時に、「習慣」に関するトラブルが散見されるようになったと思います。
 一例で言うと、「並ぶ」という日本文化です。
 日本人にとっては当たり前かもしれない文化ですが、一部の外国人にとっては理解されないようです。
 レジ待ちの行列などで、少しでも隙間を見付けたり、出口側から商品を持ち込んだりする外国人の方が見受けられます。
 日本人からすれば、それまで我慢して並んでいた事への不満が立つ非常識な行動です。
 しかし、当人達にしてみれば、自分達の文化圏では当然のことをしている、という理解ですから、仮に日本人達が怒ったとしても理解できないでしょう。
 このように外国人達が、その行動規範において自分達の母国文化を行動基準にすえて善悪を考えている限り、行く先々でトラブルがあるのは当然です。
 日本の習慣でやって良いことと、他国で許されていることが、必ずしも一致しているわけではありません。
 しかし、それが「旅行」という一過性のものであれば、まだ対応の仕方があるのかもしれません。
 これが「定住」となると、話が変わります。
 定着した地域住民と、恒常的トラブルになりかねず、重大な火種となってきます。
 「定住」という長い期間、日本の国土に住む場合、母国の文化を基準にして地域住民との善悪を図るのは間違いだと考えます。
 「郷に入っては郷に従え(To enter the township to follow the township)」という言葉がありますが、その土地のルールに学ぶのが、その土地に住む者のルールだと考えます。
 私は、「定住」という時期を、「住所を得た時である」と思っています。
 住所を得た時に、賃貸仲介会社、不動産管理会社、大家さん、身元保証人のいずれか1つにおいて、紙資料と映像資料の双方を用い、日本での生活習慣を紹介できれば、と考えます。
 この時、過去に起こったトラブル等から予想される、回避するべき事案などを具体的に紹介していくことで、無用のトラブルを避ける知識を得つつ、日本の生活習慣を理解していただくべきだと思うのです。
 今後、このような「知識を得る場」というものが非常に大切になるのではないでしょうか。
 我々、日本人にとって義務教育とは「当たり前」の存在であり、それを根拠とする習慣は多く存在するものと思います。
 しかし海外の方に、そうした考えを一概に持つことは出来ないと考えています。
 国柄、風土の文化、習慣に至っては、なおのことであり、「なぜ自分が日本に合わせなければならないのか?」という疑問を持ち、納得できない方もいらっしゃるでしょう。
 そのような方には、表面的に「こうしていただきたい」と、お伝えしても、真正面から否定されるだけだと思います。
 そこから納得していただき、「よし、解った」を引き出す為には、知識と理解が必要です。
 これらを提供する場が、本提案であります。
 また、外国人に対する日本の習慣を伝える、という試みは、強面になっては厳しい、というのは解るのですが、法的な線引きをしっかり一本引いておかねば、関わっていく人々が、なかなか難しいことになっていくことも、またあると思います。
 難しいお願いかもしれませんが、条例とまではいかずとも、最初の時点である程度の線引きは行っていただきたいと思っております。
 その後の本案は当初、ひな型のようなもので船出させ、情報収集や経験を積ませるにしても、最終的には条例化までを目標にお願いしたいと願っております。
 なぜならば、本案に関わる人々、企業などが、それぞれの主観的解釈により混乱を来さない為の措置として、将来的には条例化という軌道に乗せて落ち着かせる為の「後押し」として必要だと考えるからです。
 弊害の情報収集をしている「ひな型」のうちは良いのでしょうが、一度、「完成形」となった暁には、遵守していただかなければ、逆に社会が混乱する恐れがあります。信じて活用していただかなければいけません。その為の条例化です。
 最後になりますが。
 現状、外国人に対する習慣に関する法整備は曖昧なもので、地域住民が、曖昧な状況のまま対応せざるを得ないことになっています。
 この先、政府の少子高齢化問題の、労働力解決の手段の一つとして、移民緩和が見直される可能性も出てきています。
 その場合、当初から外国人が住んでいる地域に流入しやすいのは想像に難くなく、トラブルの頻度は、より大きくなるものと推察されます。
 現状の曖昧さの払拭、また将来的な布石としても、是非、法整備を進めていただきたく思います。
 ご検討の程、宜しくお願い申し上げます。
  平成27年8月14日
台東区議会議長
   太 田 雅 久 殿

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