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陳情19-17 「サーマルリサイクル実施に関して、公平な情報公開と慎重な推進を希望すること」についての陳情

受理年月日 平成19年5月31日 受理番号 陳情19-17
委員会付託日 平成19年6月4日 付託委員会 環境・リサイクル
委員会審査日 平成19年6月15日
議決年月日 平成19年6月27日 議決結果 趣旨採択
全員賛成
陳情19-17
  「サーマルリサイクル実施に関して、公平な情報公開と慎重な推進を希望すること」についての陳情

陳情19−17(写)
  「サーマルリサイクル実施に関して、公平な情報公開と慎重な推進を希望すること」についての陳情
≪陳情の趣旨≫
 台東区行政は現在、東京23区清掃一部事務組合の方針を受け、平成19年10月からサーマルリサイクルのモデル収集を実施するべく計画を推進しています。しかしながら、その件に関して区民への説明内容が一方的であり、また、行政として住民に誤解を招きかねない推進方法をとっている様に見受けられます。是非、公平な情報公開と地球環境を長期的に捉えた事業推進を行っていただきたく陳情いたします。
≪理由≫
 台東区がサーマルリサイクルを実施することに関して、平成18年12月20日発行の『環境案内人(エコガイド)』でその理由を広報しています。「最終処分場を1日でも長く使用するために」としたその説明は、家庭ごみに占める廃プラスチックの割合を述べ、その廃プラスチックが最終処分場の寿命を縮めている原因のすべてであるような表現をしています。さらに、石油資源で出来ているプラスチックを燃やさないのは資源の無駄遣いであると言い切っています。そこには最終処分場に占める家庭系廃プラスチックの割合の説明もなく、また、石油資源を使用した製品の使用抑制や分別指導の視点も欠けています。
1.最終処分場の延命は当然必要ですが、家庭系の廃プラスチックだけが寿命を縮めている原因ではありません。
 最終処分場に占める一般廃棄物の割合は2005年のデータによると20.3%です。(添付別紙)廃プラスチックは10.35%と、約1割を占めるにすぎません。区民への情報提供はその点も明確にお願いします。情報をすべて公開し、様々な議論を経て判断をしていくことが必要なプロセスではないでしょうか。
2.サーマルリサイクルの前に資源として回収する施策推進を。
 サーマルリサイクルに関する広報が平成19年5月22日発行の『環境案内人(エコガイド)』でなされています。この紙面では台東区の燃やさないごみの組成円グラフを掲載し、どのようなものを燃やすごみとして収集するか説明をしています。それは食品トレイやレジ袋も含むと記載されており、これでは区民はプラスチックはすべて燃やすごみになると誤解をしかねません。議会でも何度も議論されておられるように、まず資源として回収し、どうしても資源化できないプラスチックを焼却するという段階的な実施方法がとられていません。これではまるで「まずサーマルリサイクルありき」と受け止めてしまいます。もちろん私たちの区民の行動に関しても言及がありますが、現状でも、分別の徹底が図られていない中、順序が全く逆だと思われます。
3.持続可能な社会に向けて
 今年に入って相次いで発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告でも、人間の活動による地球温暖化への影響は明らかです。今、私たちにできることはサーマルリサイクルを実施し、温室効果ガスであるCO2を排出することではなく、一刻も早く「ごみ全体を削減する」方向に舵を執ることではないでしょうか。
 横浜市など他都市の例にもあるように、分別を徹底すれば廃棄物の3割どころかそれ以上の削減も可能だと思います。また過剰な包装、使い捨ての容器、ビニール袋などの使用削減指導も効果があると思います。
 サーマルリサイクル実証実験による有害物質の排出は、すべて基準値以内と報告が出ています。もちろん1回の数値は低いでしょう。しかし、排出物はこの地球上から消えることなく毎日溜まっていくのです。毎日の積み重ねによって大きな影響が出ることは、温室効果ガスや過去の公害問題の場合と何ら変わりはありません。台東区には焼却揚がありません。「だから、私たちだけは安心」ではないのです。私たちのごみの影響を受けるのは私たちです。より多くの影響を受けるのは私たち以降の子どもや孫の世代なのです。未来に対して、加害者になりたいと思う人は誰もいないでしょう。
 私たちは過去から学ばなくてはなりません。地球上で発生したものは自然界が吸収する以外行くところがありません。何万年も前に降った雨が大気中に蒸発し、現代の雨になっているように、1つの星の中で循環しているのですから。
 1人ひとりのライフスタイルを変えてもらう努力と、社会システムを構築する努力を今は、待ったなしで、行わなくてはならない時にきています。省エネは大切です。省エネは電力料金など目に見える効果があるので協力を求めやすいと思います。税金で処理されているごみの削減はなかなか協力を求めにくいことは理解できますが、省エネと同様に、ごみを減らすこともLCAで考えればそれ以上の効果があると伝えていくことが必要でしょう。区民の努力と行政の施策が車の両輪にならない限り、持続可能な社会は構築できないと考えています。それが、今を生きている私たちの責任ではないでしょうか?
4.台東区に似合うのは
 下町の良さを随所に残す台東区に似合うのは、ビニール袋や使い捨て容器の散乱ではなくもったいない精神に基づいた、「お陰様」の生活ではないでしょうか?
 是非、台東区ならではの施策で「さすが台東区!」と言われるような方向を目指していただきたいと思います。
 賢明な区議会の皆様に、次世代以降を見据えた施策への対応をお願いいたします。
平成19年5月31日
台東区議会議長
木 下 悦 希 殿